「夕張再生〜政策提言公開討論会」に関する
報告・政策提言書
 
 
 
 
 
●政策提言公開討論会開催趣旨説明・・・・・ 1
●藤倉夕張市長による現状報告・・・・・・・ 3
●会場からの発言・・・・・・・・・・・・・ 4
●西村先生による夕張再生の道筋の提案・・・ 10
●夕張再生への政策提言・・・・・・・・・・ 12
 
                     日時:2009年2月15日
                     場所:北海学園大学4号館10階第三会議室
                     主催:NPO自治体政策研究所
                     作成:NPO自治体政策研究所
● はじめに

 本報告書は、2009年2月15日に北海学園大学において当研究所の主催により藤倉夕張市長を招いて開催された「夕張再生〜政策提言公開討論会」をまとめたものです。
 当研究所会員をはじめ、研究者や企業経営者、自治体職員、市民と45名の幅広い参加があり、闊達な討論が展開されました。
 以下では、藤倉夕張市長の現状報告、参加者による討論内容を報告します。

● 政策提言公開討論会開催趣旨説明 (副理事長田中栄治)

 私たちのNPO法人自治体政策研究所は、「自治体のあるべき姿を研究し、それらを提案して、地域が安心して暮らせる「まちづくり」を目指す」ということを目的に、昨年の10月に発足しました。
 NPO法人として認証されたのは昨年の10月なのですが、NPO法人として認証される前から、「自治体政策」についていろいろ議論を重ねてきました。
 最初に私たちのところに飛び込んできた問題が「夕張財政破綻」後の再建計画の問題でした。
 それ以来、夕張問題に関わるようになった訳です。

 夕張の問題は、大きく3つあります。
 1.財政赤字の解消問題
 2.自治の再生問題
  ・市民主体の自治、市役所改革、議会改革 など
 3.市民生活の維持・再生問題
  ・医療・福祉、インフラ維持管理、雇用確保、子育て・教育、集約化 など
 
 1.の財政赤字の解消問題については、大変大きな問題です。先日、夕張で行われた「財政再生計画」の勉強会に参加してきましたが、「財政再生計画」には、「市民の意見が何故反映されないのか?」「事前の情報が市民に伝わってこない。」という市民の声が上がっていました。
 2.の自治の再生問題についてですが、もし、夕張市が、本来の意味の自治が形成されている自治体であったなら、今回のこのような財政破綻にまで至らなかったのではないかとさえ思えてきます。自治体は、市民が主体となって運営されるものだと思います。
 夕張市を本来の自治体にするにはどのようにしたらいいのか? 市役所は、自治体の大きな部分を占めますが、市役所イコール自治体ではありません。自治体の主体はあくまでも市民でなければならないと考えております。市民が主体となった自治体を形成するために、市役所をどのように改革するのか? また、議会のあり方についても真剣に考えなければならないと思います。
 3.の市民生活の維持・再生問題についてですが、これも大変重要な問題です。
 夕張市は人口がどんどん減っていっています。しかし、夕張に愛着を持って住み続けようとする人が多く存在します。この人達が、これから生活を維持していくことが出来るのだろうか? これも非常に大きな問題です。
 医療・福祉の問題、インフラ維持管理の問題、雇用の問題、子育て・教育の問題 など課題が山積みになっています。

 「自治体」の問題というのは、その文字が示すとおり、「自治」の問題です。
 「自治」とはその地域の社会生活を自主的に営むという行為です。
 地域で起こった問題は、地域が自律(自立ではない)して、その地域の人達が自ら、ルールをつくり、苦しみながら様々な問題を解決していくことが本来の姿であると思います。
 従いまして、外部の人達から誘導されて解決していくものではないと私は思っています。
 しかし、地域が自律する過程の段階では、地域だけでは解決出来ない問題があることも事実です。
 そこで、私たちの研究所では、夕張の自律に向かって何か出来ることはないだろうかと、いろいろ議論を重ねました。その結果としまして、今日のこの政策提案公開討論会を企画いたしました。
 「どのようにしたら夕張は再生するのか」という道筋について、市民、研究者、企業経営者、弁護士などの各界の様々な方々に集まって探ってもらおうと考えました。
 そういう訳で、今日の公開討論会は、意見交換と言いますか、意見や提案、提言などをざっくばらんにお話していただくことを重要なテーマとしております。
 ここで重要なのは、様々な分野の方々が一堂に集まり、公開で討論するということです。
 忌憚のないご意見等をいただければ幸いです。
 時間には限度があります。そこでお願いなのですが、今お話しましたように、会場から数多くのご意見等をいただきたいと思っておりますので、一回の発言は、出来るだけ短く、簡潔にお願いいたします。
 もちろん発言は、何度でも構いません。一回の発言を短くしていただきまして、次の人の発言にバトンタッチしていただきたいということであります。
 これからご紹介します司会者の目をみて、この場の空気を読んで次の人に発言を譲っていただきたいと思います。


 
1.藤倉夕張市長による現状報告

 まず、人口問題がある。財政破綻後の3年間で1675人が夕張を去り、人口減少に歯止めがかからない。人口減に伴う歳入減(市民税8000万円、地方交付金1億5000万円)の一方、歳出増(インフラ等の老朽化、北炭より引き受けた施設の維持・管理)がある。歳出増は、市内外のボランティアにより依存している。
 次に、353億円の返済を2年間行い、怒りがこみ上げている。財政再建団体となり、国・道の管理下に置かれ、自治体でありながら自治ができない。市長の裁量がない。お上(国・道)にお伺いを立てて認可をもらわないと何もできない。借金という檻の中で檻に触れると国は怒る。
 誰が市長をやっても同じという状況の中で俺がやると言って市長になった。私は、民間で培った交渉力がある。市民の中では市長になって2年間何もしていないではないかという声があるが、私は頑張っている。地方交付金も増額させた。財政再建計画も、微調整に始まり修正と計画変更を行っている。お祭りなど姿形は見えないけど仕事はしている。
 現在、4年間の市長任期の折り返し地点にいる。これまでの手法では限度がある。2年間必死に借金を返済した。これは市民の我慢によるものである。財政破綻した責任は夕張にもある。夕張以外の国民との関係もあり、自業自得な面もある。しかし、破綻の大きな原因は国のエネルギー政策転換や北炭の後処理、その後の企業撤退時における負担がある。通常の企業であれば、金融機関と債務調整を行い、おおよそ7割の債務をカットし、残りの3割を返済するとなる。債務調整が道の役割ではないか。
 道は、夕張で返済できないと道内市町村に金融機関が資金を貸さなくなるというのが本音であり、夕張のために借金を肩代わりするのは建前である。
 また、炭坑から観光へという政策の失敗がある。1990年代に破綻をすべきであった。
 過去の夕張市議会議事録を調査すると、1990年代に実質的に破綻していたことが明らかである。つまり、国・道も認識していたといえる。知らないわけがないのに夕張の責任としている。
 当時の市長(故中田鉄治)にも問題がある。北炭職員の退職金支払いのために北炭施設を引き受けてしまった。これは国の役割であり、炭坑の後処理を市に押し付けた。
 世論は、夕張の自己責任という風潮がある。だが、高齢者が市の借金を背負っている。この状態がいつまで続くのであろうか。
 その国であるが、私の市長就任以降に担当である総務大臣が3人も交代している。菅大臣は夕張をいじめる、だが老人と子供には配慮が必要である。増田大臣は、夕張の財政再建計画は急いで作成したので修正は当たり前であり、国の責任もある、国に責任がないとは言えない、道にも責任がある。鳩山大臣は、先日夕張を訪れた際にこんなところに人が住んでいるのか、エネルギー政策転換の影響があり、いち夕張の責任ではない、他事的責任があると発言している。大臣が上記発言をしているにもかかわらず、役人は何もしていない。国−道−大臣のパイプに問題があるのではないか。
 現在、財政再生計画を作成しており、困っている。353億円を見直すべきである。直感として夕張は10年100億円しか返済できない。まるで子どもに大人の仕事をさせているようなものである。 そもそも、財政再建団体は7年間を標準再建期間としている。また、現在の財政再建計画では計画後期に返済額が増えており、人口減による歳出減、歳出増により無理がある。18年で返済するのは無理である。30〜50年で返済すればよいのか。計画が長くなれば市民が我慢できない。
 問題は、財政健全化法施行による財政再生計画作成を夕張市自身で行いなさいということである。 財政再建計画は押しつけであったので今回は自分たちで作りなさいと言うことである。
 職員数が少なく、頭となる職員の多くが退職してしまったため夕張市職員自身では財政再生計画を作成することはできない。そこで、国・道がお手伝いをして夕張市が自分で作ったことにしようとしている。つまり、これまで通りの借金返済計画になる可能性が大である。
 他にも、市民意識の改革が必要である。市民が夕張を変えていかなければならない。依存しないで自分たちが夕張を考えて行動しなければならない。ゆうばり再生市民会議は市民の中の数%に過ぎない。夕張市民みんなが夕張のことを考えなければならない。市民の相互信頼関係の構築により結束しないといけない。そして、対話が必要である。
 現在作成している財政再生計画は、国の責任、道の責任、夕張の責任を逃してはいけない。三者三位一体の責任で財政再生計画を作成しなければならない。
 よろしくお願いします。
 
2.会場からの発言
 
●市長への質問
・夕張市民
 はじめて市長の気持ちを聞くことが出来た。地元はいろいろな党派があり、破綻に関係した人もいるため地元では言えないことだと思う。再生しようとしても議会が動かないという問題がある。
 市民もボランティアしかできなく、難しい。また、炭坑関係の人は年金額が最高で月額50万円も支給されており、そういう人は清水沢などに住んでパチンコ三昧である。夕張のこの状態はいつまで続くのであろうか。市長の気持ちが伝わっていない。みんなの意見を聞きたい。

・夕張市民
 市長の話をはじめて聞いた。市民は批判的な人が多い。様々なイベントがあるけれど、もう少し南部の人と対話をして欲しい。市長の今日の話は良かった。
 一部の市民がマスコミに取り上げられている。物言わぬ市民が何を考えているのか、その声を吸収して欲しい。

*藤倉夕張市長
 市長の話が伝わっていないというけれど、就任時は市民が冷静さを失っていた。破綻した重みを感じて欲しい。
 私は一年間考えた。市民がビジョンを出して欲しい。市民が考えないといけない。痛みを感じる時も必要である。今がチャンスである。今はみんなの声を聴きたい。市民間、議会と対話をしていきたい。今でも様々な集まりには出ている。

・夕張市民
 議員を白紙委任で選んでいた。行政も情報公開をしていない。破綻も新聞報道で初めて知った。それがあり、行政・議会不信があり、政策を実施する段階でアンケートなどを行って欲しい。
 ゆうばり再生市民会議は一部の人しか参加していない。もっと広くみんなの声を聴いて欲しい。

・北海学園大学経済学部小田教授
 財政再生団体となり、夕張を考える会はいくつあるのか。百家争鳴で正しい判断がつきにくい。

*藤倉夕張市長
 水面下では町内会などもありたくさんある。表面ではゆうばり再生市民会議である。ゆうばり再生市民会議は、生活環境改善からスタートし、今ではまちづくりを考えるまでになった。商工会議所もある。

・夕張市民
 私も商工会議所のメンバーであるが、会議所としてまちづくりの話をしたことは一度もない。一部のメンバーが言っていることがマスコミに取り上げられているに過ぎない。支援も頑張ってくださいというだけであったり、イベントが多い。
 市民は働き場が欲しい。働き場がないので結婚もできなく、子どもがいない。
 また、市民の集まる場が欲しい。

*研究所(渡辺)
 参加している人は頑張っている。ゆうばり再生市民会議の説明。

・北海学園大学地域経済学部高原教授
 再生主体として行政職員がポイントであり、その状況が悪い。ゆとりがないのではないか。

*藤倉夕張市長
 破綻前296人いた職員が108人となり、仕事の内容・量は変わっていない。今の仕事で精一杯であり、イベントに参加したり、再生市民会議には出られない。組織を変えてもどうにもならない。定額給付金も対応できない。

・研究所(笹村)
 企業経営者がこの会場に来ていないことが問題である。政治的意識の高い人だけでは再生できない。企業経営者も参加すべきである。現状の夕張で企業経営者とのつながりはないのか。

*藤倉夕張市長
 ニトリ、加森、JR、中小企業が部分的に支援してくれている。黄色いハンカチ基金は企業の支援もあり、1億円以上の基金になった。今後はこの基金をゆうばり再生市民会議で運営できるようにしたい。

・研究所(笹村)
 議員が再生の中心ではないか。この会場に議員が誰一人来ていないことが大問題である。夕張の議員は従来の活動、仕事ではいけない。
 市民が頑張っても機能しない。議員が地域に入り、市民と対話すべきである。
 このままでは夕張が機能しない。

・夕張市民
 白紙委任が機能しなかった。議員の資質の問題がある。今の議員には理念も政策もない。昔は炭坑の組合から議員を出していた。その慣行を引きずっている。

*藤倉夕張市長
 現在、市議会には9人しかいないので会派はない。しかし、系列はある。

・札幌市民
 滝上小学校はなぜ新築したのか。閉校になることが分かっているのになぜ造ったのか。
 矢祭町は行政職員にメスを入れないで改革をした。もっとアイデアを出すべきである。
 行政職員の無駄を無くすべきである。議員の待遇も減らすべきである。様々な意見を出す機会を多く欲しい。

・夕張市民
 滝上小学校は地域の生活感としての要素が強い。
 
●議会改革の可能性について
・江別市議会議員
 議会には自由に発言できない閉塞感がある。市民の代理として個人として独自に仕事をしていかないといけない。
 リコールやイニシアティブという制度もあるので市民が声を出していくことが必要ではないか。

・札幌市民
 50分の1は集まるのか、できるのか。

・夕張市民
 議員はいらない。町内会長だけにして日当制にすればよい。
 選挙になると選ぶ選択肢がない。

・夕張市民
 現在、議会傍聴をしている。議員は、自分たちで何も考えていない。議員には政策も理念もない。市長にさせようとしている。
 みんな顔が分かっているのでリコールやイニシアティブは難しい。

・札幌市民
 議会だよりを出すことが必要ではないか。1970年代初めには議会だよりがあり緊張感があった。 夕張市内版の議会だよりが必要である。地道な積み重ねが必要である。

・夕張市民
 ほっとゆうばりを出しているけど変わらない。今もやっている。先のことを考えると難しい。

・研究所(湊谷)
 リンカーンフォーラムとして助言が欲しい。議会の改革のためにはどうすればよいのか。

・研究所(笹村)
 市民に呼びかけ、あるべき議員を考えるという内容の討論会をすべきではないか。多くの人を巻き込んでいくことが必要であり、地元で開催すべきである。

・札幌市民
 現在の9人をそれぞれ専門に分けて担当されてはどうなのか。福祉担当の人は福祉について責任を負い、担当議員を中心に提案や討論を行い政策形成を行う。担当議員制。
 
●その他発言
・札幌市民
 今日の結果をどうするのか、報告書をつくってはどうか。公開して欲しい。

*研究所森理事長
 メディアや口コミで広がっていく。

・夕張市民
 市民も何かできないのか。そこで私たちは山の上クラブという集まりを企画し、破綻の原因などについて気軽に話し合いをしている。50名の参加がある。

・札幌市民
 ニトリが桜を植えているが、その桜は50年しかもたない。また、桜は木材にならない。植えるのであればクルミがよい。クルミは実が収入となり、木材としての価値も高い。

・北海学園大学地域経済学部高原教授
 市民総参加のまちづくり計画はつくれないのか。それぞれの地区から公募で代表を募り、夢を語る場が欲しい。夕張再生室が必要である。市役所に余裕を作るべきである。再生室を作り、どんどん市民が意見を出すべきであり、2年間の準備が必要である。

・研究所(浅野)
 市民に財政再生計画の話をすべきではないか。18年だから高齢者などは自分には関係ないとしている面がある。議員も市民が選んでいる。派遣職員が夕張市を支配している。問題の本質をどうにかしないといけない。年金収入者が多いのでこの人たちの生活は安定している。最悪の事態を考えるべきではないか。

・岩見沢市役所
 市だから仕事が多いのであり、町格下げしてはどうなのか。

・研究所(湊谷)
 借金が多すぎて市民からはっきりとしない。市民一人あたりどれだけ借金があるのかを出すべきではないか。具体的数字にすべきである。すると年間約22万円となる。
 また、借金を減らすためには道議会ではっきりとすべきである。
 市民とのつなぎ役をどうするのかという問題もある。党派対立がある。


・北海学園大学
 投票率はどうなっているのか。

*会場
 高い方である。


・研究所(田中)
 夕張にとって財政再建は大変重要な問題であるが、これと並行して、夕張の「まちづくりビジョン」をつくることも重要なのではないか。外部から与えられるのではなく、夕張市民が全員で汗水流して自分たちの将来を描く必要があるのではないか。
 一つの方法として、身近な地域生活環境指標を、そこに住んでいる人たちが協働して創り上げることにより、これらをたたき台として、議論し、自分たちの「まち」の「目標」を創り出すことが出来る。
 夕張の人たちは、桜マップを自らの手で創り上げた。これを発展させた形で、生活指標マップを創り、この作業の過程で夕張の現状を市民が把握し、議論が起こり、ハードからソフトへと展開し、グランドデザインを創ることが出来る。市役所職員が行う余裕は無いが、データを提供してもらい、市民が自ら創り上げていく必要があるのではないか。


・札幌市民
 市民は痛みを感じている。借金も分かっている。外部支援は中身を詰めるべきである。生活するにはどうするのか。市民生活と地域経済をどのようにつくるのか。地区ごとに生活していくプランを具体的に作っていく必要がある。

*研究所(渡辺)
 ゆうばり再生市民会議が地域に入っていこうとしている。

・夕張市民
 炭坑年金者は食べていける。仕事をしている人は食べていくのでやっとという状況である。働く場所が必要である。そうしないと夕張には残れない。

・札幌市民
 企業に来てもらうより商店を再生させないといけない。地域通貨を導入してはどうか。

・恵庭市役所職員
 現在の夕張市は派遣職員で成り立っている。全国市長会に支援を要請してまちづくりの余裕をもって欲しい。夕張市からの職員派遣や研修をした方が良い。

・研究所(浅野)
 財政再生計画は厳しい。各種団体への補助金もない。
 特に、保育料が高い。子どもには罪はないはずである。これでは少子化に拍車がかかり負のスパイラルに陥ってしまう。

・研究所(渡辺)
 市役所内が暗い。職員が元気になることが必要である。方策はないのか。

・夕張市民
 財政再生計画に市民が入っていない。市民の意見はどのように反映されるのか。
 職員も意見が反映されないと言うことで同じではないか。
 債務調整をすべきである。夕張市民も道民である。このままでは道が計画を作り、夕張市の総意となってしまう。

 
●西村先生による夕張再生の道筋の提案

 資料の説明、それぞれを解決していかなければならない。再建計画は公正ではない。
 夕張は10億円程度の赤字で再建団体になる。夕張に責任はあるが、それだけではない。
 国・道・市の割合で負担するべきではないか。交通事故では示談や裁判で負担割合を確定する。
 財政再生計画の前に債務やこれまでの経緯を検討してみてはどうか。
 道の行った調査も不十分であるとすれば良い。そうしないと353億円を枠にして計画の期間延長しか道がなくなる。

 
●研究所理事長(森)

 市民の入った市民室を作って市民行政職員を持つ、資金管理室長ではなく、市民のエネルギーを受けて運営していくべきである。
 市民議会を取り戻す、議員の任期は4年間、常設型住民投票条例を設定する。夜間休日に議会を開催して、地域ごとに議員を出す。
 夕張の将来像を和やかに安心して暮らせる高齢者のモデル地区をつくり上げる必要がある。
 職員の給料4割ダウンを自治省(総務省)がやるのはおかしい。
 353億円は市、道、国で3分の1づつとする。
 
*藤倉夕張市長

 これだけまわりの人が応援してくれている。夕張市民に信頼を深めて欲しい。
 対話をしていき、結束していきたい。新しい夕張を作っていく。これをまわりが応援していく。自分たちで立ち上がる。これを市民に言いたい。
 常設型住民投票条例や議会、再生室を考えたい。行政と市民、議会がかみ合わないといけない。
 今度の財政再生計画を作るときに道と夕張が話し合いをする場を第三者の団体が主催で行って欲しい。みんなが傍聴するようにしたい。
 また、市内で意見を聞く場をつくっていく。
 ありがとうございました。
 
政  策  提  言
夕 張 再 生 へ の 政 策 提 言 
平成21年2月15日 
    NPO自治体政策研究所
    理事長  森  啓  
 
A 問 題 の 所 在
 
1.「夕張再生の主体」

 夕張再生の主体は夕張市民でなければならない。ところが、現状は総務省職員が室長である「夕張再生室」が一切を取り仕切っている。
 「全国からの寄付金」の管理も「様々な再生提案」も「再生室長」が握っている。
 市長は「財政再建計画」で縛られ政策主導は限定されている。市民は傍観者であり市議会は旧態依然である。

2.「再生の意味」

 総務省と道庁は「353億円を18年間で償還すること」が「夕張の再生である」と考えている。
 「財政再建計画」の実行が「夕張の再生」であるとされている。
 しかしながら、「市民生活が成り立つ」ことが「夕張再生の基本」にならなくてはなるまい。
 夕張の現状は、市民生活に不可欠な施設の運営が指定管理者の返上で困難になり、老朽施設が修繕できずに崩落する状況が続き、人口は2006年6月13,165人が2008年4月11,998人へと、市外への人口流失が続いている。
 夕張再生は「夕張市民の生活が成り立つ」ことが基本である。
 
B 夕 張 再 生 へ の 提 案
 
1.夕張市民室の設置

 「夕張再生市民室」を新設して「全国からの寄付金」と「様々な再生提案」に対応する。
 現在の「夕張再生室」の任務は「債務償還管理室」であるから名称もそのように改める。
 新設する「再生市民室」には、市民が「市民行政職員」として参画する。それが、市役所を「お役所」から「市民の自治機構」へと創造的に転換させることになる。
 夕張再生の道筋は「夕張市民」と「市役所職員」との相互信頼が基軸である。

2.市民議会 ― 議会を市民の手に取り戻す

 夕張市民の「市議会への不信と批判」は深刻である。「市民の自治機構」としての議会への改革が不可欠である。それにはまず、議会の開催を「休日と夕刻」に改めて「普通の市民」が議員を務めることが可能な議会にすることである。

3.債務総額の調整 − 国と道庁の分担

 「353億円とその利子」を「18年で返済する」ことは「夕張再生計画」と両立しない。返済は不可能である。
 そもそも、353億円の債務額は、北海道庁が「みずほ銀行などの債権者」に全額一括立替返済をして確定した債務額である。経済社会の通常では、返済不能となった「不良債権」の処理は、債権者会議の場で「何割かの債権放棄と返済保証」の「債務調整の協議」がなされる。それが現代社会の知恵である。
 北海道庁の「役回り」は「そのような協議の場」を設けることではなかったか。
 一括立て替え返済は「不良債権を貸し付けた金融機関」を庇護するやり方である。
 北海道庁は「債権・債務の破綻」において「どちらの側」の利益擁護者であるのか。
 そしてまた、債務額の増大は「内需拡大政策」に原因がある。すなわち各省庁が「後日に返済を肩代わりするから」などの言い方で借金財政を促進させた結果である。
 さらにまた、起債許可権を持つ総務省と北海道庁は起債許可時に「財政破綻を承知していた」のであるから、国と北海道庁に責任なしとは言えないであろう。
人口減少が進行し続けている夕張市民には「353億円とその利子」を「18年で返済する」ことは不可能である。
 夕張の市民生活の再生には「353億円の債務額調整」が必要である。

4.職員の待遇改善

 夕張市職員の給料は期末手当を合算するとほぼ四割削減された。全国最低である。そして他方では、業務負担が増大して心身共に疲労し退職者が続いている。
 これまで、総務省は公務員給与の均衡を理由に全国の自治体給与に干渉してきた。
 しかるに今、総務省管理下で実質強制によって給料格差を生じさせているのである。
 極端に低下させた市職員の待遇を戻すべきである。

5.希望の杜・夕張診療所との提携

 老齢者が増えていく夕張である。
 夕張再生の方向は「健やかに楽しく高齢者が暮らせる夕張」の実現である。
 医療と福祉と保健が一体になった夕張が未来像である。
 それには「希望の杜・夕張診療所」と「市民・市役所」との信頼提携が不可欠である。